生きのびるための事務|a book
「執筆をしたい。絵を描きたい。音楽を作りたい」と思っている人の側で、事務たちは何をどうサポートしていけば良いのかを、コミックで教えてくれる本、《生きのびるための事務 坂口恭平・著》です。
どこに行きたいかと言われたら、いつも「本屋。」のSHINO-FUMIです。
こちらは、私が読んだ本、推しの本について、おしゃべりたいときに書くページです。推し活!
Instagramを見ていたら、本の紹介広告が流れてきました。気になって、画像をクリック!
表紙デザインが好みでした。文字をギュギュと詰めているのに、圧迫感がないなと感じます。上に空間が抜けていくように、白い吹き出しがあるからかもしれません。幅が極太の帯もかっこいい! 手書きのイラストと題字もすっと懐に入ってくる、愛嬌があります。
働いているときに「いつか言語化して頭を整理したい」と思っていた、そのものズバリのタイトルが書かれているじゃないですか。このタイトルは、たくさんの人の「生きのびる」ために「事務」をしてる時の、いろいろな思い出のフックに掛かりそうなタイトルですね。
私は、社内の事務方メンバーと、相談したり計画を立てたりするときに、いつも頭の隅に置いておく言葉がいくつかあります。
ひとつは、糸井重里さんの「夢に手足を。」。
もうひとつ、なんというドラマだったか忘れましたが、OLが主人公のドラマのセリフで「事務はクリエイティブなんだよ」。
そして、先週見つけた堀本見さんのnoteに書かれていた「クリエイティブ隣接職」。
私にとって、この3つは、夢や目標を持った人が、自然体で生きていくために必要な「事務の価値」と「サポートする役割」を表したものだと思っています。この言葉たちを思い出す時、広い海の遠くを見ながら、だいたいこっちの方向だろう、と検討をつけて進むときにとても役にたちました。
その旅路を補強してくれるのが、本書《生きのびるための事務》です。
登場人物は、著者の坂口恭平さん自身と、「優秀な事務員・ジム」です。コミックでは、「ジム」は麦わら帽子をかぶったロボットみたいな顔で、それがすごく良いんですよね。坂口さんが大学を卒業し無職で過ごしているところに、「ジム」が現れます。坂口さんは、「ジム」のすすめで、現在のスケジュールと未来のスケジュールをノートに書き出し、現在の収支と未来の収支を書き出します。
坂口さんと「ジム」の会話が具体的で、そうだよな、事務が自分を助けてくれている実感が湧いてくるまでには、こういうプロセスがあって、やっと「事務のこと好きだな」って思える、そういう長い時間に起こったことだったなと。
技術書でありながら、哲学書でもある。なのに、可愛くって、じんわり心が温かい。「ジム」の名言にスカッとすることが何度もありました。(特に、p137-138頁のジムのセリフが、大好きです。)
本書は、坂口さんがnoteに投稿していた記事を道草晴子さんがマンガ化し、全11講にわたりPOPEYE Webで連載された後に、単行本化されたそうです。編集は、関谷武裕さん。装丁は、藤田裕美さんです。
本文は(2色刷りなのか、カラーなのか、私にはわからないんですが……)手書きで書かれていて、黒いコマの枠線が所々飛び出していたりしていたり、サーモンピンクのアクセントカラーがいい塩梅でラフに塗られていたりと、あえてキッチリしない生身の感じが、この本の内容をよく表しているなと、とても好きになりました。背表紙の厚みもプリっとしていて、ソフトカバーなので手の馴染みもいいです。
坂口さんのあとがきの最後には、このように書かれています。
事務のことを考える、というのは、つまりは、あなたが小さい頃から本心でやりたいと思っていることを実現するための方法、ですから。どんな人にも必ず実現したいことがあるのです。そのことを忘れずにいたら、必ずジムが楽しいアイデアをたくさん教えてくれますよ。
生きのびるための事務 坂口恭平・著(2024年/株式会社マガジンハウス)
誰かのことをサポートするときも、自分自身のことをサポートするときも、「ジム」のことを思い出したいと思います。ぜひ、本書をお手にとってみてください♪
●目次●
生きのびるための事務 坂口恭平・著(2024年/株式会社マガジンハウス)
はじめに ジムとの出会い
第1講 事務は『量』を整える
第2講 現実をノートに描く
第3講 未来の現実をノートに描く
第4講 事務の世界には失敗がありません
第5講 毎日楽しく続けられる事務的『やり方』を見つける
第6講 事務は『やり方』を考えて実践するためにある
第7講 事務とは好きとは何か?を考える装置でもある
第8講 事務を継続するための技術
第9講 事務とは自分の行動を言葉や数字に置き換えること
第10講 やりたいことを即決で実行するために事務がある
第11講 どうせ最後は上手くいく
あとがき
▼電子書籍もあります