インハウスデザイナー名刺を育てる

「両面モノクロにして、それぞれの所属と問合せ先も入れて、HPも必要だよね……」9年前に作った会社の先輩の名刺のリニューアル。県外出張の前に全部配り終わってしまいそうだと、声をかけてくれました。
遠くへ旅をするのが苦手な私は、家と仕事場の往復だけでも「充実してるな」と満足してしまうタイプなのですが、先輩といっしょに作った名刺が、いっしょに旅に出るのだと思うとお供をしているようで、楽しいのです。
社内スタッフの名刺を作り始めたのも9年前でした、時間がたつにつれて、それぞれの仕事のスタイルにあわせて、名刺を作り替える機会が何回かありました。
社内での役割が変わったとき
小さな修正ですが、最初の名刺にはなかった仕事や役割を追加することになったとき。そのスタッフの今までの活躍や苦労を見ているので、いろいろなエピソードがあったなと、ふっと嬉しくなります。
コミュニケーションを短くしたいとき
現場から現場へ、移動しなくてはならない人は、滞在時間を短くしてさっと要点だけを伝える名刺のほうが、良いコミュニケーションに繋がるようです。会社のお問い合わせフォームのみご案内して、いざ次の現場へ。
コンタクトをとる方法を複数共有したいとき
制作会社や出版社の社員さんと、制作を共にするスタッフは、スケジュール調整や校正作業、販売や広報について連絡をこまめにとる必要が出てきます。名刺の文字数は多くなりますが、打合せを効率よく行う工夫の一つなのだと思います。
プロフィール部分に変更があったとき
「講師を務める教室が増えた」「執筆してる媒体が増えた」など、10年同じ会社で過ごしていると、長い時間が経たないと立ち会えない、スタッフの人生の変化を近くで見ることができます。名刺のプロフィールを修正するとき、私もワクワクします。
「来てくれてありがとう」の気持ちを伝えたいとき
接客担当のスタッフと、イラスト付きの名刺を作ってみました。関連施設を利用してくださった方へ「はじめまして」と「いらっしゃい」が伝わったらいいな。お迎えする時の緊張が和らぎますように。
おわりに
振り返ってみると、名刺を作るのは時間が経つほどに面白いのが分かってきました。まるで名刺を育てているようです。昔は形にするだけで精一杯、今は作るのが楽しいし、未来で名刺が変わるのが楽しみです。なによりInDesignで、文字を整理整頓して、レイアウトを考える作業はとても気持ちがいい!