ひとりインハウスデザイナーの冊子制作
デザイン制作会社ではない、小さな事業会社にデザインが必要になっていくときって、どんなときなのでしょうか? 業種ごとにいろんな理由があるのでしょうか? それとも意外と似たような目的ではじまるのでしょうか? 私たちのケースについて、最初の流れを思い出してみたいと思います。デザイン視点とのお付き合いが始まった頃の思い出話です。
コミュニケーションが取りやくなる仕組み
イベントに足を運んでくれる人や、コンテンツを使ってくれる人たち同士がコミュニケーションが取りやくなる仕組みを作りたいとうのが出発点だったかと思います。少しでも自社でデザインの内製化をして、事業内容を少しひろげて、いずれは冊子の発行やネットショップを開設することを目標に、少しずつゆっくりと手探りで作業を始めました。
ECプラットフォームと配送方法を調べる
まずは、小さく始めて大きく育てる精神で、頑張ろう!と。ECプラットフォームの運営も内製化を目指しました。
3つのECプラットフォームを検討しましたが、一番直感的に操作できて、無料登録が簡単なSTORESでショップを開設しました。STORESのQ&Aやコラムには、必要書類の準備、特定商取引法の記載方法など、立ち上げに必要な知識が詳しく書かれていることもSTORESの魅力です。配送方法については、郵便局とヤマト運輸を比較し、販売予定の商品は書籍が多かったため、ゆうメールが使える日本郵便に。
大容量のテキスト読み込み、規約やQ&Aに目を通し、ずっと読んで要点を抜き出すを繰り返していました。テキストでお腹がいっぱいであります……。
さて、ECプラットフォームと配送方法は見つかったんですが……。
本が好きなだけのBOOKデザイン初心者
冊子作りについて、私には大きな大きな不安がありました。
その当時、独学で学んでいたPhotoshopもillustratorもindesignも、製品をつくるまでの技術には、まったくなっていない状況で、「できるよ、やってみよう」と言ってくれる上司の言葉がありがたい反面、責任を持てないことに手をあげられるほど楽観的にはなれませんでした。(でも、チャンスが豊富で、背中を押してくれる人がいるのは幸せなことですね。)
冊子制作の工程については、寄稿していただく執筆者の方の締め切りが諸事情により遅れる事がありえるため、編集と校正とレイアウトの微調整は、社内で対応したいという見解で一致。
「どのぐらいの期間発行し続けていきたいか」と希望を聞くと、「年四回の発行で、監修者が元気で生きているうちはずーっと続ける」という回答でしたので、長期戦になることも分かりました。
表紙絵や挿絵を描く力のある人は社内にいないので、ストックフォトやストックイラストなどの素材サイトで有料で購入するのが一番簡単な方法でしたが、その場しのぎの表紙絵や挿絵ではブランディングの方向性が定まらず、読者も振り回されてしまうだろうという不安がありました。
有料で購入して楽しんでいただくためには、届いて安心するような冊子であってほしい。
私も社内で編集や校正に関わる機会をいただいていたけれど、それだけで本ができるのではないので、冊子のビジュアル面の監修者が必要だと思っていました。
上司と同僚にも、私の不安が何なのかを説明ができるように、愛読書の雑誌「ku:nel (アリヤマデザインストアが制作をしていた時代のもの)」や「暮しの手帖(松浦弥太郎さんが編集長をしていた時代のもの)」を自宅の書棚から引っ張り出し、読者層の具体的なイメージと読者に求められていると思われる文字の並び方や文章の量感、冊子全体の雰囲気などをまとめて伝えました。
上司も同僚も快く相談に乗ってくれ、心配な点や知識のすり合わせが出来てない部分は深堀りしてくれたのがありがたかったです。
商品価格と販売見込み数と、ランニングコストをExcelに入力し、実現可能かどうか、何度も社内で検討しましたね。
「せめて表紙絵と挿絵は、イラストレーターの方に依頼してみませんか?」
出版社のように器用に事を運ぶノウハウはまだ無いため、見立てがあっているのか、あっていないのか不安でしたが、ひとまず上司と同僚の賛同を得て、ついに表紙絵と挿絵を、イラストレーターさんに依頼してみることになったのでした。
〈……つづく〉
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編集後記
……最後は「つづく」で終わってしまいました。そのうち、冊子の立ち上げについての後半を書きたいです。ネットショップの最初の立ち上げや、販売する冊子の制作を経験させていただいて、外注する部分と、内製化する部分と、バランスを取りながらすすめていくのが大切なんだなと思いました。その外注する部分が、プラットフォームだったり、専門的な技能をもった人だったりなのだと思います。