リフトの足もと
2024年5月19日、くもり時々小雨ぱらぱら。
天守から山頂駅の長者ヶ平までは歩いて10分。石畳の通路に雨がてんてんと跡をつけていく。「滑るから走らないでね」と声をかけながら、3人でロープウェイ乗り場の待合所にかけこんだ。
ロープウェイは10分ごとの運行で、もう間も無く出発する11時40分の便を逃したら、もう10分またなくちゃいけない。順番待ちの列の長さを見るかぎり、私たちが乗れるのは、もうひとつ後の便になりそうだ。
私たちの近くに並んでいた、小学生の子どもづれ家族は、早々と「リフトのほうが早そうだからリフトで降りよう」と列から抜けていった。
ロープウェイ乗り場の裏側には、リフト乗り場があった。
乗り場をのぞいてみると、登ってきた白くて丸みのある椅子がくるっと折り返し、また下山していく。椅子には、棒が一本伸びていて、その棒がワイヤーロープに繋がっている。椅子に安全バーは無いけれど、山に落ちてしまわないよう、山の斜面にはネットが張られているようだ。
案内係のスタッフのおじ様は、ベテランの風格で、「リュックは前に抱えて」「赤い枠に立っていてくださいね」とテンポよくすすめてくれる。
赤い枠に立つ、白い椅子が近づいてくる。「はい、座って」腰を降ろすタイミングもばっちりだ。
乗り場の軒を抜けると、遠くに城下の街並みが見える。すぐ真下は、青々とした木々の生い茂る森だ。